日本のほとんどの渓流は9月いっぱいで禁漁期に入ります。釣り師にとって9月は焦りと一抹の寂しさを感じる季節です。
今年は、あまり良い釣りが出来ていなかったので起死回生を狙って、我が師匠名人Y氏の案内で彼の生まれ育った地元木曾の川に2泊3日で釣行しました。
天気は最高、御岳山もくっきりと青空に映えていました。
先ずは開けた里川に入ってみました。川岸にたくさん育ったクレソンと川面を彩る梅花藻の花が水のよさを物語っています。
その梅花藻がゆれる堰堤上の浅くゆったりと流れるポイントから、朱点も鮮やかな型のいいアマゴが飛び出したくれました。
尾びれの大きさが魚の引きのよさを生みます。
地元ではアマゴのことをタナビラと呼ぶそうです。響きが良いですね。
2時間ほど楽しんだ後、次は山岳渓流の趣を持った別の川に移動。ここは絶滅が心配されるヤマトイワナの領域です。
左に小さく見えるのがY氏。岩の大きさが見事です。
Y氏が、イワナを次々と釣上げるかたわら僕の方は釣果が上がらず苦労していましたが、最高のポイントを譲ってもらってフライを投げると、すっとフライが消えました。すかさずあわせると今まで感じたことが無いほどの強い引き、一気に深みに入ろうとする魚を何とかいなして、慌てふためきながら何とかネットに収めたのはなんと31cmの真っ黒なヤマトイワナ。
引きは普通のイワナよりはるかに強いものでした。
ヤマトイワナは数が減っていて尺ものは非常に貴重なんだそうです。もちろん丁寧にリリースです。
その晩は、Y氏の同級生の経営する民宿に泊まり、9月とは思えない冷え込みに布団の上に毛布をかけて熟睡でした。
翌日も、先ずは昨日の山岳渓流の下流からスタート。何とか一匹イワナを釣上げたところでお蕎麦が美味しい高原食堂というお店で昼食。そこでY氏のお友達で開田高原にログハウスを持っておられるO氏と合流して、午後は里川をのんびり釣りあがりました。
夜は、ログハウスでナベ宴会。話に花が咲いてとても楽しい夜でした。
夜半に強い雨音がしてきて、最終日目覚めてみると案の定雨模様です。実はY氏は無類の雨男、僕は晴れ男なんですが、いつも一緒に釣りに行くと1日はY氏の本領発揮で雨を降らせてくれます。
雨の中昨日の里川に向かうと、天気のせいかあちこちの水面で魚がえさの水生昆虫を食べるために飛翔を上げて波紋を作っています。
雨の中魚の反応は良くて気がつけば時間切れでした。
それから、木曽川沿いに中津川駅近くにある、僕のメガネを提供していただいている”メガネの山内”さんにご挨拶に伺おうと車を走らせました。
夜は、山内さんご推薦のお店で美味しい地元の料理とお酒をすっかりご馳走になってしまいました。
更に、ステージ用の新しいメガネを作っていただくことになりまして、次のコンサートには届いていると思います。かっこいいメガネですよ、こうご期待!
今回は、いろんな出会いがあり、良い魚も飛び出してくれてシーズンの締めくくりとしては最高の釣行でした。
木曾の里を流れる幅1メートルも無い小川、ここにも梅花藻がゆれてタナビラがたくさん泳いでいました。まさに日本の原風景がまだ残っている感じでした。大切にしたいですね。